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南房総鴨川の和風旅館「緑水亭」の新着情報や季節のイベントなどをお知らせします。

月別アーカイブ【2008年11月】

鮟鱇の口ばかりなり流しもと

これから旬をむかえる鮟鱇です。
冬といえば鍋、この中でも一度は味わってみたいのが鮟鱇鍋ではないでしょうか。鮟鱇は晩秋から冬場にかけ水揚げさ れる魚で最も美味しい季節は鮟鱇最大の旨味「アン肝」に脂がたっぷりとのる12月~2月です。この季節になると国産ものでキロ2,000円~3,000円 以上にもなることがありますが、旬の時期を越してしまうと産卵期に入るため肝は小さくなり商品としては劇的に価値が下がります。鮟鱇の価値は「アン肝」の 状態で決まるといって良いでしょう。このような価格でも分かるように鮟鱇の美味しさは何といっても「アン肝」です。このアン肝を十分に味わうには鮟鱇鍋が 一番。この鮟鱇鍋の味付けは地域、人の嗜好により様々な味付けがありますが、やはりこのアン肝を主体とし野菜などの水分だけで濃厚な味付けをした鮟鱇鍋が 最高ではないでしょうか。茨城県では名物「どぶ汁」として人気の高い鍋でもあります。醤油味などのあっさりとした味付けでは味わえない濃厚で深い旨味が たっぷりと出た味わいは、鮟鱇鍋ならではの味わいではないでしょうか。この鍋の他アン肝は酒の肴にも最高で、蒸したアン肝に紅葉卸をのせポン酢で食べると フォアグラを超えるような極上の味わいが楽しめます。これから一段と寒くなる季節、この鮟鱇鍋で体の芯から温まってみてはいかがでしょうか。

アンコウ(鮟鱇)
アンコウ目アンコウ科アンコウ属。日本では北海道以南に生息し、世界では北極海、南極海、太平洋、インド洋、大西洋、地中海の全世界のほとんどに分布する深海魚(水深200m以深)です。このアンコウの特徴は、頭部が際立って大きく縦扁し平たい暗褐色をした軟らかい体と、肉食性のため発達した歯と大きく広がった口が特徴です。また、アンコウは 捕食方法にも特徴があり、口の上部にある背鰭第1棘の小皮弁が変形した誘引突起(イリシウム)を海底に潜った状態で水面に出し、これを揺らし餌と間違えて 寄ってきた魚を丸呑みにします。このため魚をより捕え易く口は上を向いていて誘引突起の先端はさらに変形し膨化しており、これを疑餌状体(エスカ)と呼び 発光バクテリアによる共生発光をする種もあります。(基本的に誘引突起を持つのは雌だけ。)なぜこのような捕食方法になったのかは、アンコウの泳ぎが下手 で泳ぎの上手い魚に逃げられてしまうためだからです。上部の突起を揺らし擬餌針のような役割をさせ巧みに獲物を捕食します。また胸鰭は腕のように大きく発 達しこれを使い海底を歩くように移動することもできます。アンコウの大きさは種により様々ですが、キアンコウは大きなもので1.5mになり重さは30kgにもなります。(基本的に雌は雄より大きくなります。)アンコウの産卵期は4月~5月。またこのアンコウも栄養素が多く含まれる魚であり、白身は脂質が少 なくヘルシーな上美容や健康を維持するのに欠かせないビタミンB1、B12などのビタミンB群を含み、これに対しあん肝は脂質が多く高カロリーですが、ビ タミンB12やビタミンA、ビタミンDが多量に含まれ老化防止などの健康維持にとても良いとされています。鮟鱇の捌き方は表面がヌルヌルして俎板の上では 捌けないので吊し切りにして捌きます。日本での主に食用にする種はキアンコウ(ホンアンコウ)、アンコウ(クツアンコウ)の雌になり、アンコウの漁獲量日 本一を誇るのは山口県下関市です。

by 旬彩の宿緑水亭 | 2008-11-25 21:52 | ♦旬の魚介類
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色付や豆腐に落ちて薄紅葉

秋の内浦山に分け入って見るとそこには圧倒されるほどの絶景がありました。

今日は秋晴れの空がとても気持ち良いのでカメラを手に取り内浦山をぶらり散策していたら、突然現れた色彩にカメラを自然と構えファインダーを覗き込んでし まいました。そこには秋の陽光を燦燦と浴び燃えるような真っ赤な赤葉と、高貴な質感を漂わせ濃密に彩る黄葉とが絶妙な味わいを描き出し見るも鮮やかな光景 が目の前に広がっておりました。そしてその光景を観ている自分が一瞬にしてそれに心奪われ、不思議な世界へと引き込まれていくのに気付きました。このよう な自然の妙味が人に与える芸術的な刺激はやはり秋ならではの感覚かと思われます。立ち止まり絶景に目を奪われていると時の流れが止まっているようでした。 当館よりほど近い内浦山県民の森でこの紅葉はご覧頂けます。南房総にもようやく雅趣に富んだ秋の風合いが訪れ、見る者に自然の美しさをまざまざと見せつけ ております。

養老渓谷もみじまつり
日本全国 で観られる紅葉の中でも最も遅い紅葉で知られるのがここ房総。
11月23日(日)には養老渓谷で「もみじまつり」も開催され毎年たくさんの人々で秋の賑わいを見せております。澄んだ流れの中で色 鮮やかな木々に囲まれ癒された後は、房総の極上の魚介をほおばり忘れることのできない想い出の時を深く心に刻んで下さい。

by 旬彩の宿緑水亭 | 2008-11-19 21:50 | ♦観光・レジャースポット
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一の湯は錠の下りけり鹿の鳴

大~きなアオリイカが水揚げされました。
アオリイカはイカの中でも最も高級なイカになり「イカの王様」と称されるほどとてもとても美味しいイカで す。食べ方はもちろんお刺身が一番。口に含み噛み締めた食感は何ともいえない程好い弾力、と同時に口の中に広がる極上の甘味と噛めば噛むほど出てくる至福 の旨味。やはりこれ以上に旨いイカは考えられません。アオリイカの美味しい季節は地域、人によって様々な意見があり、全国各地様々な季節に水揚げされます が、この秋から冬にかけて水揚げされる房総のアオリイカも当館が自信を持って皆様にお勧めできる一品です。地元の漁港で日々水揚げされる新鮮な房総の魚介、寒くなるにつれどんどん旨味を増しています。

アオリイカ(障 泥烏賊、学名:Sepioteuthis lessoniana)
頭足網ツツイカ目閉眼亜目ヤリイカ科アオリイカ亜科アオリイカ属。日本では、北海道以南の沿岸部に生息し、世界では温帯から熱帯の広範囲に渡り分布しています。(東はハワイからアラビア半島沿岸まで)イカの種類は全世界で約460種 ほど生息していると言われておりますが、この中には「王様」という称号をつけられているのわずかな種があり、その代表的なイカがアオリイカです。このアオリイカは幾つかの種類に分かれ、これは卵嚢の中の卵の数で見分けることができ卵が5~13個入るものが一般的なアオリイカでこれを「シロイカ」、卵嚢の中 に2つ卵が入っているものが「アカイカ」と呼ばれています。この他、「クワイカ」がおりますがあまり情報がありません。アオリイカの一生はとても短く1年で死滅してしまうため、極めて成長が早く、5㎜で孵化してから1ヵ月半で約5㎝となり、その後1ヶ月に4㎝のペースで急激に成長し最大で50㎝を超え6kg位までの大きさに成長します。アオリイカの特徴は、丸みを帯びた胴体と胴の縁に沿って大きな半円形の鰭がついているのが特徴で、この鰭を使って停 止、後退と自在に動くことができます。またこの動きは獲物を捕まえるときにとても役立ち、獲物の近くでピタッと停止し体色を変え長い腕(蝕腕)をの伸ばし 吸盤で吸い付け捕食します。ちなみにイカも墨を吐きますが、タコが煙幕として使っているのに対しイカの墨は吐き出した形のまま留まるので自分の分身として 敵を攪乱しています。そしてこの墨は19世紀頃絵の具やインクとして用いられ時間の経過とともに色があせてしまうことから、後に学名をとりセピア色という ようになりました。また、イカ墨にはアミノ酸を多く含んだ旨味成分が多量に含まれているため食用としても扱われております。雄と雌の見分け方は、雄は背中 に破線模様があり、雌は破線模様は不明瞭で小さな白玉模様があるのが特徴です。産卵期は春から夏。アオリイカは摂氏15度より水温が低くなると沿岸から離 れ深場に移動し、春にはまた沿岸に戻り摂氏17度前後の水温になると産卵行動を始めます。アオリイカの名の由来は鰭の色や形が馬の胴体に巻く「障泥(あお り」という馬具に似ているところから標準和名の「障泥烏賊」と名付けられました。(鰭をあおって泳ぐさまからという説もあります。)この他地方名では、バ ショウの葉に似ていることから「バショウイカ」、または「モイカ」、「ミズイカ」、「クツイカ」などの名で呼ばれています。アオリイカは「餌木」というルアーを使った釣りでも大人気のイカです。

by 旬彩の宿緑水亭 | 2008-11-13 21:41 | ♦旬の魚介類
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行秋やどれもへの字の夜の山

秋色に染り始めた房総の山間で、一際朱色に染まるカラスウリを見つけました。
季節というものは国が違えば風土もがらりと変わり、その土地の動植物 を見れば季節の流れを知ることができます。冬を目前にした房総の山間でも、今まさに季節の移り変わりを目の当たりにすることがきます。言葉では表現するこ とのできない色彩豊かなこの季節、心から楽しんでみたいものです。房総の魚介も冬支度に入りより一層旨味を増しています。

カラスウリ(烏瓜、唐朱瓜、学名:Trichosanthes cucumeroides)
ウリ科カラスウリ属、つる性の多年草。日本では本州から九州・琉球諸島までの林や藪の草木に絡みつき自生し、開花期は 7月~9月の夏にかけ花を咲かせます。この花は日暮れから咲き始め未明には萎んでしまうためあまり見ることのない花でもあります。花弁は白色で5弁に分か れ先端からは無数の白い糸のようなものがレース状に広がっているのが特徴で、このような特異な形状をしているのには理由があり、大型の蛾を飛来させ受粉の 役割を果させるのが目的です。スズメ蛾のように大型の長い口吻を持った蛾だけが花の蜜を吸えるように花筒が非常に長く、この蜜吸うときに雄しべや雌しべが 顔に付着し受粉される仕組みとなっています。そして秋も深る10月~11月下旬頃、雌花の咲く雌株にのみ卵型をした朱色またはオレンジ色をした果実が実 り、この果実の中には黄色果肉にくるまれるようにして種子があります。この種子は黒褐色でカマキリの頭部によく似た形状をし、また打ち出の小槌にも喩えら れ財布の中に入れておくと富に通じるとされ縁起物として扱われています。この種子をくるんでいる黄色い果肉は食べるととても苦いため食用には適しません。 そして地上に延びていた蔓は秋になると地面に向かって延び、地面に触れたところから根を出し新しい塊根を形成し栄養繁殖を行います。また、葉はハート型を し表面は短い毛で覆われ触れるとふわふわザラザラとした感触が特徴です。冬は地下のデンプンを多く含んだ魂根で越冬をします。カラスウリの名の由来は、朱 墨の原料で「辰砂(しんしゃ)」の鮮やかな「緋色(ひいろ)」に実の色がにていることから「唐朱瓜(からしゅうり)」と呼ばれました。カラスが好む、好ま ないなどの意味ではないようです。また、古くから果実は別名「玉章(たまずさ)」と呼ばれています。
花言葉は、「誠実、よき便り、男嫌い」です。

by 旬彩の宿緑水亭 | 2008-11-09 21:39 | ♦季節(秋)
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吸物も鱸さしみも鱸かな

白身がとても美しい魚スズキが水揚げされました。
ご覧頂いているスズキは活〆にした70cm以上はある立派なスズキです。このスズキは本来6 月~8月が旬なのですが、産卵期を迎えたこの季節でも房総のスズキはとても美味しく召し上がれます。スズキの特徴はとてもきれいな身にあり、肉質は鯛と類 似しあまり癖がない上品な味が特徴的です。当館ではこの美味しいスズキを新鮮な状態のままお召し上がり頂くため洗魚(あらい)にてお召し上がり頂いており ます。スズキの身にはATPという低温に反応し筋肉を引き締める物質が多く含まれ、洗魚にしたスズキは歯ごたえが増しとてもおいしく召し上がれます。スズキはこの身のほか肝臓、心臓、腸、皮、骨と捨てる部分がなく、腸の吸い物、皮の炙り焼、骨の出汁など無駄なく食べることができます。またフランス料理では 高級食材として扱われ、カルパッチョ、ムニエル、ポワレなどで欠かすことのできない食材でもあります。美しい自然が残される房総の海で育ったスズキ、ぜひ お召し上がり下さいませ。

スズキ(鱸、学 名:Lateolabraxjaponicus)
硬骨魚綱最大のグループスズキ目に属するスズキ科の仲間。北海道南部から九州までの日本各地の内 湾や河川内(琵琶湖まで遡上することもあったとか)、真水と海水が混ざり合う河口域などに多く棲息している大型の肉食魚です。餌は小魚や甲殻類を捕食し全 長は最大で1mを超えます。体色は背中が灰緑色、体側が銀白色。また、このスズキも成長とともに呼び名が変わる出世魚であり、1~2年たった20~30㎝ のものを「セイゴ」、3年を過ぎた40~60㎝ものを「フッコ」、そしてこれらを上回るものを「スズキ」と呼びます。(呼び名は各地域によって異なりま す。)産卵期は10月~3月。このスズキは疑似餌を使ったルアーフィッシングでも大変人気の高い魚であり、釣り人はスズキのことを「シーバス」と呼んでい ます。(ヨーロッパスズキの英名が定着したもの)和名の由来は「すすぎ洗いしたようなきれいな身」から来たものとされています。また、スズキは栄養価の高 い魚でもあり特にビタミンA、Dが豊富で、この他ミネラル分を含み脳の発育や血栓の予防、目、皮膚、骨を丈夫にするなど栄養に富んだすばらしい食材でもあ ります。スズキの漁獲量が最も多いのは千葉県。

by 旬彩の宿緑水亭 | 2008-11-03 21:37 | ♦旬の魚介類
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