これから旬をむかえる鮟鱇です。
冬といえば鍋、この中でも一度は味わってみたいのが鮟鱇鍋ではないでしょうか。鮟鱇は晩秋から冬場にかけ水揚げさ れる魚で最も美味しい季節は鮟鱇最大の旨味「アン肝」に脂がたっぷりとのる12月~2月です。この季節になると国産ものでキロ2,000円~3,000円 以上にもなることがありますが、旬の時期を越してしまうと産卵期に入るため肝は小さくなり商品としては劇的に価値が下がります。鮟鱇の価値は「アン肝」の 状態で決まるといって良いでしょう。このような価格でも分かるように鮟鱇の美味しさは何といっても「アン肝」です。このアン肝を十分に味わうには鮟鱇鍋が 一番。この鮟鱇鍋の味付けは地域、人の嗜好により様々な味付けがありますが、やはりこのアン肝を主体とし野菜などの水分だけで濃厚な味付けをした鮟鱇鍋が 最高ではないでしょうか。茨城県では名物「どぶ汁」として人気の高い鍋でもあります。醤油味などのあっさりとした味付けでは味わえない濃厚で深い旨味が たっぷりと出た味わいは、鮟鱇鍋ならではの味わいではないでしょうか。この鍋の他アン肝は酒の肴にも最高で、蒸したアン肝に紅葉卸をのせポン酢で食べると フォアグラを超えるような極上の味わいが楽しめます。これから一段と寒くなる季節、この鮟鱇鍋で体の芯から温まってみてはいかがでしょうか。
アンコウ(鮟鱇)
アンコウ目アンコウ科アンコウ属。日本では北海道以南に生息し、世界では北極海、南極海、太平洋、インド洋、大西洋、地中海の全世界のほとんどに分布する深海魚(水深200m以深)です。このアンコウの特徴は、頭部が際立って大きく縦扁し平たい暗褐色をした軟らかい体と、肉食性のため発達した歯と大きく広がった口が特徴です。また、アンコウは 捕食方法にも特徴があり、口の上部にある背鰭第1棘の小皮弁が変形した誘引突起(イリシウム)を海底に潜った状態で水面に出し、これを揺らし餌と間違えて 寄ってきた魚を丸呑みにします。このため魚をより捕え易く口は上を向いていて誘引突起の先端はさらに変形し膨化しており、これを疑餌状体(エスカ)と呼び 発光バクテリアによる共生発光をする種もあります。(基本的に誘引突起を持つのは雌だけ。)なぜこのような捕食方法になったのかは、アンコウの泳ぎが下手 で泳ぎの上手い魚に逃げられてしまうためだからです。上部の突起を揺らし擬餌針のような役割をさせ巧みに獲物を捕食します。また胸鰭は腕のように大きく発 達しこれを使い海底を歩くように移動することもできます。アンコウの大きさは種により様々ですが、キアンコウは大きなもので1.5mになり重さは30kgにもなります。(基本的に雌は雄より大きくなります。)アンコウの産卵期は4月~5月。またこのアンコウも栄養素が多く含まれる魚であり、白身は脂質が少 なくヘルシーな上美容や健康を維持するのに欠かせないビタミンB1、B12などのビタミンB群を含み、これに対しあん肝は脂質が多く高カロリーですが、ビ タミンB12やビタミンA、ビタミンDが多量に含まれ老化防止などの健康維持にとても良いとされています。鮟鱇の捌き方は表面がヌルヌルして俎板の上では 捌けないので吊し切りにして捌きます。日本での主に食用にする種はキアンコウ(ホンアンコウ)、アンコウ(クツアンコウ)の雌になり、アンコウの漁獲量日 本一を誇るのは山口県下関市です。