元気な子供たちの遊び相手になってくれる夏の風物詩クワガタです。
当館では毎年夏になると内浦山の山々から沢山の訪問者がやってきます。ご覧頂い ているのは昆虫少年の憧れの的ミヤマクワガタです。子供の頃このミヤマクワガタを見つけようとみんなで山の中へ入り虫に刺されながら必死で探したもので す。ですがなかなか見つけることができず子供たちには憧れのクワガタでした。大人になった今でも子供の頃を想い出しミヤマクワガタを見つけるととても興奮 します。当館は海から車で5分もかからない山間にあります。このようなところでも房総では沢山の昆虫と出会うことができます。豊な自然が残る房総、ぜひ皆 様夏の思い出にお越し下さいませ。
ミヤマクワガタ(深 山鍬形、学名:Lucanus maculifemoratus)
甲虫目、クワガタムシ科に属するクワガタムシの一種であり、日本では古来から最 もなじみ深い種類です。分布は北海道から九州までの広範囲に分布し、地域差はありますが6月~9月に見ることができます。ミヤマクワガタの最大の特徴は、 冠状に突起(耳状突起)した頭部にあり、この耳状突起は蛹の頃に寒冷な気候で育ったオスほど大きくなる傾向が見られ、幼虫期の頭部の幅に影響されます。ま た、オスの大アゴには、エゾ型・ヤマ型(基本型)・サト型(フジ型)の3つがあり、それぞれ大アゴの第一内歯と第三内歯の長さ、先端の二叉の大きさで見分 けることができます。この他の特徴は、オスは体表に細かい毛が生え、体色は金色から褐色、木の幹に擬態した保護色の効果があり、体毛は体温調整に役立つと 思われます。また、メスは黒色でツヤがあり他のクワガタムシのメスと類似していますが、腹側には微毛があり、学名の元になった黄色い長楕円の黄色紋が腿節 部にあるため、他種のメスと容易に見分けることができます。大きさは、オスが42~79mm、メスは25~43mm。このクワガタは、冷涼湿潤な環境を好 むため「深山」と名付けられたように標高の高い山間部によく見られます。また、他のクワガタは夜行性が多いのに対し、ミヤマクワガタは生息域や環境によっ て日中活動をすることが知られ、クワガタの中でも飛翔性が高い種でもあります。幼虫は腐植の進んだ地中や朽木の中に生息し、腐植土状部分を食べ、秋に羽化 した成虫は土中の蛹室内で冬を越し翌年の夏に活動を始めます。(ミヤマクワガタの寿命は短く、再越冬はしません。)このミヤマクワガタは環境庁により指標 昆虫にも指定され、ミヤマクワガタが生息するところには豊な自然がありとても良い環境ということの証明にもなります。
■指標昆虫
動物分布調査の一環として「分布域が広く、比較的なじ みがあり、かつ全体として山地から平地までの良好な自然環境の指標となる」昆虫を指定したものです。